LCC

2012年12月11日

先日のトンネル事故。原因は、あと施工ケミカルアンカーの老朽化もしくは施工不良との説が有力のようです。

じつは、現在の建築の世界では、「あと施工アンカー」を新築物件の主要構造部で用いることは認められていません。長期荷重の負担が適用範囲外とされているからです。天井板は主要構造部ではないとはいえ、重さ1tのコンクリート板を、アンカーの引き抜き方向に常に荷重する形で長期使用するという工法が、標準工法としてあちこちのトンネルで用いられているとの報道には、ほんとうに驚きました。

危ないインフラはなにもトンネルに限ったことではなく。高度経済成長期に作られたインフラの多くが耐用年数を過ぎ、時限爆弾と化しています。そして、まるでロシアンルーレットのように私たちを待ち構えています。

近年、公共的な建築物では、LCC(ライフ・サイクル・コスト)という考え方が定着してきています。建築物を新築するときには、新築工事費だけではなく維持管理の費用も計画してから工事にとりかかろうという考え方です。

住宅のような小規模な建築物でも、LCC計画をしめすことが求められる時代になってきそうです。